きょうは、領海等における外国船舶の航行に関する法律案につきまして質問させていただきたいと思います。
先ほど来の質疑を拝見させていただきまして、海上保安庁の体制というのは本当に大丈夫なのかと、かなり私の心の中では心配がございます。平成二十年度の予算規模でいくと千八百五十八億円でございますか、人員としては一万二千五百名ということでありまして、世界第六位の海域、先ほど大臣がおっしゃっておりました四百四十七万平方キロメートルを守るということで、本当にこの人員そして装備でいいのかなという気がいたしてまいりました。
この予算の充実ということについてもぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、その前に一つ、今回の法律案につきまして少し質問させていただきたいと思います。
今回は、今まで任意の立入検査もしくは退去要請だったものを、立入検査を忌避した場合に罰則を設ける、そしてまた退去命令を出せるぞということで法律の制定が行われるということでありますが、立入検査をするに当たっては、当然、そこに外国船舶がいて、その外国船舶を停船させなきゃいけないよと。
正直申し上げて、先ほど岩崎長官も、怪しいやつがいる、言うことを聞かないやつがいるということをおっしゃっておりましたけれども、これを停船させるためにはいろいろな方法が考えられると思うんですけれども、今この現状というのはどうなっているのかということについてお聞かせ願いたいと思います。
〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
○岩崎政府参考人 これは私どもの訓令でございますけれども、停船のための手続というのをいろいろ定めております。停船を求める場合にはどういう手順でやるか。汽笛なんかを吹鳴して注意を喚起する。それから、拡声器でありますとか旗でありますとか発光信号でありますとか、そんなことで停船の要請を行う。それから、それによっても停船に応じないという場合は、船の進路を規制するでありますとか強行接舷等必要な措置を講じて停船させるということになっております。
ただ、ではこの方法で一〇〇%ちゃんとうまくいっているかと言われますと、かなり努力はしますが、難しいところもないわけじゃございません。相手の船が逃げていくのを停船させるにはちゃんと追っかけなきゃいけませんし、そのためにはスピードも要ります。それから、旋回性能なんかもいい船がないといいコースにちゃんと入れないといったこともございます。そうしたものを含めて充実が必要だろうと思っておりますし、先ほど来御支援いただいておりますが、そうしたことの充実なんかについても努めているという状況でございます。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
この実施要領というんですかね、いろいろマニュアルでお決めになっているとは思うんですが、現場で有効な対策をとるというのがやはり最優先されなきゃいけないと思うんですね。最優先されなきゃいけないことをバックアップするような体制を、やはり法律を含めてつくっていかなきゃいけないなと思います。
きのうもいろいろ海上保安庁の方とお話しさせていただきましたけれども、日本の場合はかなり抑制的に、いろいろ基準なりマニュアルなりで運用しているというお話がありました。
少し話を続けますけれども、停泊をさせて、それから今度立入検査をするよという話になった段階も、やはりいろいろ、ある程度細かく、そういうマニュアルといいましょうか、その運用の基準というか、何かつくられているとは思うんですけれども、立入検査というのは本当に身の危険も伴いますし、立ち入る前に身の危険も伴っている場合も想定されるわけですけれども、この立入検査の場合は、どういう形で今、マニュアルの整備等をされているのかについてもお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府参考人 立入検査につきましても、私ども、一般的な立入検査の運用規則を定めております。保安庁法の十七条の規定に基づきまして、立入検査の場合はどういうことを調べる、あるいはそのときの心構えはどうする、その方法はどういう形でやっていく、制服をちゃんと着用するといったいろいろなことについて、ある程度のルール化、マニュアル化をしておるところでございます。
こうしたもので、この法律に基づく立入検査もやっていきたいと思っておりますが、運用しながら、もし不測のことがあれば、直さなきゃいけないことがあれば、それはそれでまた適切に対処していきたいと考えております。
○鷲尾委員 必要なことがあれば、ぜひ我々も一緒になって考えていきたいなというふうには思うんです。
日本の領海では、不審船、工作船事案、いろいろありましたけれども、こういうものを踏まえて、領海をしっかりと守るために、海上保安庁さんだけじゃなくて、やはり自衛隊とも連携をしていかなきゃいけないと思うんですけれども、この連携を含めて、今現状、政府はどのようなことを進めておられるのかについてもお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府参考人 領海の警備は、一義的には海上保安庁の仕事だと思っておりますし、そのように整理されておりますが、私どもだけですべて一〇〇%できるわけではないというのも事実でございます。そういう意味で、自衛隊・防衛省との連携は非常に重要だと思っております。
共同対処マニュアルというのを海上保安庁と自衛隊の間でつくっております。早い段階からいろいろ情報を共有していく、事案の発生した場合に海上保安庁と自衛隊との役割分担をちゃんと決めておく、それから海上保安庁が手に負えないといったときには自衛隊に速やかにお願いする、こうしたことはマニュアル等でも決めておりまして、そのようにして万全を期していきたいと思っております。
また、そのための共同訓練も必要でございますので、こうした共同訓練も、自衛隊と私どもの現場の海上保安庁とで、それぞれ巡視船なり、自衛隊の方からは護衛艦なり航空機なんかを出していただきまして、共同訓練をやっているという状況でございます。
○鷲尾委員 ありがとうございます。ぜひ、実質的に動ける体制というのを、連携を密にしていただいて、しっかりとこれからもつくっていっていただきたいと思います。
次の質問に移りますが、今回は外国船舶に通報義務を課すということでございますが、この通報義務について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
通報義務を課したよということを、これは日本に往来する多数の船舶に対して周知徹底をまずさせていかなきゃいけないと思いますが、この周知徹底というのをどのような方法で行うおつもりなんでしょうか。
○岩崎政府参考人 周知徹底を図っていかなきゃいけないと思っております。
具体的には、船舶代理店等が日本にございますので、その海事関係者、あるいは海事関係の国際的な団体もございますので、そうしたところへの働きかけで周知をしていったり、それから関係省庁等を通じて周知をしていく、パンフレットやホームページによる周知を頑張ってやっていきたいと思っております。
○鷲尾委員 この通報義務なんですけれども、正当な理由のない通報義務違反に対して罰則は設けられていないということですが、これは実用性をどういうふうに担保していくおつもりなんでしょうか。
○岩崎政府参考人 通報義務は、我が国の領海で停留、徘回をする船舶について課しておるわけでございますので、その多くは、先ほど御説明させていただいたとおり、正当な理由で停留、徘回をしているもの、その正当な理由のある人も通報してください、こう言っているものですから、その人たちを、単に通報してこなかったといっただけで罰則をかけて逮捕していくというような、そこまでは少し過剰ではないか、国際法上でも適当ではない、このように考えております。
ただ、やはり通報はちゃんとしてもらうというのは重要なことでございますので、先ほどの繰り返しになりますけれども、通報制度について周知徹底をしていく、それから個別にも、外国船舶に対して、通報しなかった船を見つけた場合、私どもは立入検査に入るわけですけれども、そのときに、ちゃんと今度からは通報してくださいねといったことを現地でも指導していって、こうしたことの通報義務について実効性を担保していきたいと思っております。
○鷲尾委員 この通報義務ですけれども、実際に通報義務を課したとして、例えば一年間という期間を区切って、どういう期間を区切ってかはお任せしますが、どれぐらい通報というのは生じてくるものなんでしょうか。
○岩崎政府参考人 今、天気の悪いときの避難や機関故障、やむを得ない事由によって停留等を行っているものも含めまして、我が国の領海等に停留しているのは、大体年間四千隻ぐらいが私どもで把握しているところでございます。私どもの把握していないものも少々あろうかと思いますけれども、数字としては、この四千隻強ぐらいで間違いないかと思っております。
○鷲尾委員 四千隻ということで、それぐらいの通報がきっとあろうかと思うんですけれども、一つの観点としては、この通報の義務というのは、私もちょっと想像できない部分もあるんですが、例えば外国船舶に対して通報義務を課しますよといった場合に、外国船舶が逆に通報をする手間がかかってしまって、それでちょっと通報を怠ってしまうということも少しあるんじゃないかなというふうに考えられますが、これは実際、どういう手続になるのかという話が一つ。
あわせて、通報の義務づけということで、当然、新たに四千もの通報が上がってくるということですから、海上保安庁さんとしても、その通報の処理を含めてかなり業務量がふえてくるんじゃないかというふうに考えますが、その場合、今の体制で十分に対応できるのかどうかということについてお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府参考人 通報のやり方でございますけれども、できるだけ簡易なことでやっていきたいと思っております。必要最小限でいいと思っております。
実際にはどんな形が多いかと申しますと、私ども、十一の管区本部がございますけれども、その管区本部それぞれに、オペレーションルームと申しまして、いろいろな緊急事態に対応するために二十四時間交代制で私どもの職員が何人か詰めておるところでございます。そこは二十四時間で対応しておりますので、いろいろな通信手段を持っております。こういう緊急入域や停泊なんかする船については、これはもう船ですから無線等の通信手段を持っておりますので、紙ではなくて結構です、無線等の通信手段でも結構ですから、何々丸ですよ、船長はだれですよ、こういう理由で停泊しますよといったことを通報してもらえばいい、このように思っておるところでございます。
したがいまして、先ほど高木先生の答弁でもお答えさせていただきましたけれども、これ自体で物すごく業務がふえるわけではございませんけれども、繰り返しになりますが、保安庁は本当に警察から消防からいろいろなことをやっておりますので、私もお話しさせていただいておりますけれども、現場の保安官、身内のことを言うのはなんでございますけれども、本当に頑張っておるなと思っております。何とか働きやすい、ちゃんと仕事ができる環境をつくってやりたいと思っておりますので、定員の面でも頑張っていきたいと思っております。
○鷲尾委員 長官が、働きやすい職場ということで、命をかけていらっしゃる方々ですから、ぜひとも我々もそれは協力させていただきたいというふうに思うところでありますが、次の質問に移らせていただきます。
また立入検査の話に戻りますけれども、今回、その立入検査の機会がこの法律の制定によってふえるのかどうか。それで、ふえるということも含めて、海上保安官の皆さんの危険が増すのかどうか、そういう心配もあるわけですよね。もう一つは、ほかの先生からも質問があったと思うんですが、今の安全確保についてどういう対応をされているのか。そしてまた、訓練の強化もやはり必要になってくるんじゃないかと思います。この点につきまして、今の政府がやられていることの現状をお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府参考人 一つ目の立入検査の回数、機会でございますけれども、今私ども、外国船に対して、平均すると年間大体一万隻ぐらい、これは港に入っているものに対して立入検査するものも含めてでございますけれども、これが実は大部分でございますが、一万隻ぐらいやっております。
それで、正確に統計をきっちりとっているわけじゃないので、つかみの数になるんですけれども、少し不審な船舶らしいといったものについて、緊急入域しているものも含めてでございますけれども、今、年間大体五百隻ぐらい洋上で立入検査をしているという現状でございます。
私ども、この法律を通していただければ、こうした回数をできる限りふやしていきたいと思っております。すべてのものについてやるというのはなかなか難しいだろうと思いますけれども、せっかくこうした法律をつくっていただいたので、これの施行に合わせて、洋上での立入検査件数というのもできる限りふやしていきたいと思っております。
それから安全の問題につきましては、先ほどもお話しいたしましたとおり、やはりこういう外国船に直接乗り込むという機会がふえますので、そういう意味では、これで直ちに危険が増加するとは思いませんけれども、やはりそういうチャンスが多うございますので、より安全については心がけていかなきゃいけないな、このように思っております。いろいろ装備等についても考えていきたいと思っております。
それから、やはり訓練とかそういうのも非常に重要だろうと思っております。特に、訓練をどういう内容でやっていくかについて、一般的な訓練もありますけれども、やはり、外国船がどういうことをやってくるかよく見きわめて、それに応じた実際的な訓練をやっていくということが必要だろうと思っております。
私ども、現地の管区本部、現地の保安部でそれぞれ工夫しながらやっているのが現状でございますけれども、私ども本庁としても、そういういろいろな情報をできるだけ現場に送って、そういうことをヒントにそれぞれで工夫してちゃんとした訓練をやってもらうということは重要だと思っておりますし、今後ともそうしたことを現場にも指導していきたいと思っております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
この立入検査とか検挙のために、例えば船体を射撃するとか、そういう強硬措置をとる場合もあるわけですけれども、この法律案だと、海外に比べてと言っていいんでしょうけれども、比較的軽微な罪と同程度の罰則を規定しているということですが、外国船舶に対するものですから、余り優しいものでは実効性もやはり薄れるというふうに思うんです。この罰則規定について、今の政府のお考えも少しお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府参考人 今回、罰則を定めさせていただいておりますけれども、既存の法律の罰則を参考にさせていただいております。
漁業法で、外国漁船が立入検査を忌避した罰則が「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」となっております。それから、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律で、退去命令違反について「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」ということになっております。こうしたものを参考にしながら、今回の制度を定めさせていただいたということでございます。
これも、この法案の効果について、ある程度十分な抑止力になっていると我々は思っておりますけれども、実際に法律を施行、運用する中で、もし必要があれば、こうした罰則の強化についても改めて考えさせていただく機会はあろうかと思っております。
○鷲尾委員 それもぜひ、実績も含めて機動的に対応をしていかなきゃいけない事柄であるというふうに私どもも認識させていただいておりますので、よろしくお願いします。
最後に、海上保安庁の体制について、冒頭にも申し上げましたけれども、やはり体制としてはまだまだなんだろうなというのが私自身の実感でありまして、先ほど高木先生のお話、現場でのお話を含めてお聞きしまして、本当にしっかりやっていかなきゃいけないな、我々として何ができるんだろうなと。
一つは、やはりまず現状の認識を常に新たにさせていただくということと、立法府としても、こういうことについては、やはりその予算づけということでは積極的に応援していかなきゃいけないなと。
ですので、この予算については、海洋基本法ができたことによって総合海洋政策本部というのが立ち上がって、それで省庁横断的に議論をしながら話をしておるというのが現状だと聞いておりますが、冬柴大臣はこの総合海洋政策本部の副本部長でおられるということでありますので、長官の話をお聞きして、また私も現状を調べて、精いっぱい配慮していただきたいと思うんですが、総合海洋政策本部の副本部長としてのお立場、本部長たる内閣総理大臣に、しっかりとこの部分について予算をとるんだということの決意も含めて、いま一度、冬柴大臣からのお言葉をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 ありがとうございます。
私も、海洋基本法が制定されまして、昨年七月二十日、それが施行されるときに、海洋政策担当大臣を拝命いたしました。
現在、先ほど来いろいろと細かく聞いていただきましたけれども、年間に立入検査を三万四千隻やっているんですよ。そのうち一万隻ぐらいが外国船です。それで、海難事故約四千五百件を処理し、中には、荒天の深夜、ヘリコプターで沈没せんとしている船の中へ降下して、そしてそこで助けを求めている人の人命を救助する。大変な仕事だと私はいつも思っております。外国船に乗り込む場合も、外国船よりも性能がいいということがやはり必須ですよ。
私は、そういう意味で、おとつい石垣の方へ参りまして、最新鋭の巡視船「はてるま」、千三百トン、代替整備の先駆けとなる船でございますが、私、進水式も行きましたし、その命名もさせていただいた船でございまして、大変縁が深い船でございますが、それにも乗船をいたしました。そのような新造船というものについて、海上保安官の士気を大変奮い立たせるんですよね。私はそういうふうに思いました。
今、三百五十五隻の巡視船艇の四割が旧式なんですね。したがいまして、これを一日も早く代替整備を進めなきゃいけない。
それから、巡視艇というのが日本の小さな港湾も守ってくれているわけですが、要員が少ないために、二十四時間いつでも通報を受けたら走っていける体制にないんですね。それは複数クルー制というものをとらないと、一番小さな船でも五人要るわけですね。そういう五人だけでは、巡視艇があってもそれを二十四時間運用することができない、そういう事情があります。
したがいまして、これについては、厳しい中も要員の確保ということで複数クルー制をとっていただきたいということで財務省あるいは総務省に申し上げまして、この苦しい中で、やはり、昨年は一万二千四百十一名だったのがことしは一万二千五百四名までふやしていただいているということは、そういう厳しい職務に対する認識が深まって、そして、このように苦しい中でも要員を確保させていただいているというふうに思っております。したがいまして、国土交通委員会の先生方にそのようなものをよく御理解いただいて応援していただければ本当にありがたいというふうに思っております。
もう一つは、石垣で「はてるま」の就役についてのパーティーというのを開きました。これは国土交通省がやったんではなしに、海上保安協会という民間の応援隊がみずから企画をし、そして、その費用が幾らか知りませんけれども、入場券を発売してやっていただいたんですね。
私は、こういうものが日本全国に広まって、海上保安に対する理解とそして協力体制が強力にできれば本当にすばらしいことだというふうに思っている次第でございます。
○竹本委員長 時間が来ております。
○鷲尾委員 大臣、私も応援します。
質問を終わります。
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2008年06月03日衆議院国土交通委員会